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浦和家庭裁判所熊谷支部 昭和39年(少イ)1号 判決

被告人 渡辺修蔵

主文

被告人を罰金五、〇〇〇円に処する。

右罰金を完納することができないときは、金五〇〇円を一日に換算した期間被告人を労役場に留置する。

理由

一、罪となるべき事実

被告人に対する昭和三九年一一月一一日付起訴状記載の公訴事実と同一であるからこれを引用する(ただし六月三〇日とあるのを六月二九日と訂正する)。

一、証拠の標目

一、被告人の当公判廷における供述ならびに検察官および司法警察員の職務を行う労働基準監督官に対する各供述調書

一、宮○進、○藤○由、○田○郎の検察官および司法警察員の職務を行う労働基準監督官に対する各供述調書

一、○寿○の司法警察員の職務を行う労働基準監督官に対する供述調書

一、登記官作成の登記簿謄本

一、押収してある労働者名簿一冊(昭和三九年押第一三九号の一)、昭和三九年度給料手当支払内訳明細書一冊(同号の二)、出勤表昭和三九年二月分より同年六月分一五枚(同号の三)

一、法令の適用

法律に照らすと、被告人の判示所為はそれぞれ労働基準法一一九条一号、六〇条三項罰金等臨時措置法二条一項に各該当するところ右は各年少労働者ごとに包括して各一罪が成立するからいずれも罰金刑を選択し以上は刑法四五条前段の併合罪であるから同法四八条二項により右各罪の罰金の合算額範囲内において被告人を罰金五、〇〇〇円に処し、被告人が右の罰金を完納することができないときは、同法一八条により金五〇〇円を一日に換算した期間被告人を労役場に留置することとし、主文のとおり判決する。

(裁判官 平山三喜夫)

別紙

起訴状記載の公訴事実

被告人は、機械製造販売を業とする株式会社仲井精機製作所取締役で、秩父郡皆野町大字国神七三八番地所在の同社秩父工場の長として同社のため同工場の労働者を指揮監督している者であるが、法定の除外事由がないのに別表記載のとおり昭和三九年二月一日から同年六月三〇日迄の間計三二七回に亘り同工場において一八歳に満たない年少労働者宮○進他二名を法定の実働一日八時間を超える計五七五時間の時間外労働をさせたものである。

公訴事実一覧表

進行番号

年少労働者氏名

時間外労働年月日

一日八時間をこえる時間外労働時間

宮○進

昭和三九年二月一日

二時間

三〃

五〃

六〃

七〃

八〃

一〇〃

一二〃

一三〃

10

一四〃

11~106

(編注・省略)

計  一〇六回  一八四時間

進行番号

年少労働者氏名

時間外労働年月日

一日八時間をこえる時間外労働時間

1~111

○田○郎

(編注・省略)

計  一一一回  一九六時間

進行番号

年少労働者氏名

時間外労働年月日

一日八時間をこえる時間外労働時間

1~110

○藤○由

(編注・省略)

計  一一〇回  一九五時間

総計  三二七回  五七五時間

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